ビルドハザードフォーム登場で、改めて複眼デザインの秀逸さと意義を思い知る。
普段ライダーの話題がないのでたまにはと思い書きます。
21話にて殺意と暴力の塊と化した仮面ライダービルド。ハザードトリガーでラビットタンクハザードフォームへと変貌します。
変身者の制御が効かなくなるというのはバトルものなら定番ですが、この回は特にその結果まずどうなるかをかなり直球に描いていましたね。
その辺に関しては皆さん色んなところで語られていますので、私はそこから一転。この黒いビルドのデザインについて面白いなぁと思った事を簡単に書かせて頂きます。
まずは仮面ライダービルドのこれまでのデザインについて。
動植物(有機物)と無機物(機械・マシン等も多い!)の組み合わせにより一つの形態を作るスタイル。Wと似ているという感想が多かったですが、大きく違うのはモチーフの特徴をパーツで再現している点と、複眼の色と形で表情を変える点でしょうか。
色が「モチーフの持つイメージから発展している」のはWも同様(と言うかデザインってそういうもんですよね)ですが、ビルドは各部細かい部分で固有の形をしています。
一番分かりやすいのがゴリラモンドフォームのサドンデストロイヤー(右腕)。極端にパーツがデカいだけで何となくスペックが想定出来てしまうものですねぇ。
また、ニンジャサイドの鎖帷子、コミックサイドの漫画のコマを思わせる胸のデザインもモチーフが明確です。
そして複眼。個人的にはこれがビルドのライダーデザインにおいて最も衝撃的かつ革新的でした。ツイッターでも呟いてますが改めて。
さっきから初期フォームばかりで見飽きてしまうかもしれませんがもう少しお付き合い下さい(汗
ビルドの複眼は各ボトル毎に色が変わるだけでなくその形もモチーフに沿ったデザインになっているというのはアメトーークの仮面ライダー芸人で出た時から既に話題に挙がっているので今更説明もいらないかもしれません。
個人的な見どころは「デザイン的な意味で複眼が触覚の役割も担っている」という点です。
仮面ライダーと言えば複眼、触角、クラッシャー(顎部の事です)!と譲らなかった時期が私にもありました( ˘ω˘ )
そんなライダーも平成初期の時点から挑戦的なデザインを提示していたのでもうそういった記号的な要素に囚われるのは意味ないと思っていますけどね。特にクラッシャーを持つライダーは最近減り、逆に口を思わせるパーツがないのも多いです。これは「口がない→マスクで覆っている」という違うベクトルからの『仮面』の表現なのかも。
話が反れました。
そんなライダーの最新主役デザインであるビルドには触角がありません。
そうです、皆さん。ビルドには触角がありません。
その触角に準ずるパーツが「複眼から伸びる長いパーツ」になっています。
触角がないのにシルエットだけで見ればこれまでの仮面ライダー同様に触角のあるライダーに見えるというデザイン、王道を守りつつ(と見せかけつつ?)新たなライダーを見せるというビルドのストーリーにも重なるところがあってひたすら素晴らしい!
そしてその複眼の触角兼用パーツ(何か書き手の造語が出てきたぞ)ですが、これも各フォーム毎に具体的な部位であったり抽象的な表現だったりで面白い。
ダイヤモンドの複眼は光を反射して煌めく二次元的な表現、キラッというエフェクトで触角のシルエットを作っています(ゴリラのはバナナかと思っちゃったよね腕です
強化形態のラビットタンクスパークリングは、戦車の砲撃及び走行によるエフェクト、ラビットは体毛の逆立ちをデザインに取り入れています。
こういう感じで、具体的な例を出すとキリがありません。フォーム数も多いせいもあるんでしょうけど!
とにかくこれ以外のフォームも各部見つけると「おっ」となるデザインがありますので興味がある方は公式サイトでくまなくチェックすることをオススメします。
ようやく本題です。おせぇよ!
体を斜めに渦巻く二色の姿から一転。
「タールで体が黒くなった」という方もいらっしゃいましたね。
これに対して最初「フォームチェンジしながらカラフルに戦うビルドに合わないというかラビットタンク以外で出来なくない?」という疑問がありましたが、
むしろこれこそがビルドデザインの凄さなのではないかというのが今の考えです。
というのも、ハザードフォーム登場間もなく買った児童誌にスマホウルフハザードフォームが掲載されていました。その上こっちでも見れました。抜かりねぇなおい!
そうです、ハザード状態でもフォームチェンジが出来ます。
しかし黒塗りボディがフォーム毎に変化するわけではありません。というか変わりませんそのままです。
しかしそれでもフォームチェンジ表現が出来るのは、前述のビルド特有の複眼デザインあってこそなのです。
触角なしでもライダーと分かるようデザインされてきたビルド。
ボディがなくとも複眼でモチーフが分かるようデザインされてきたビルド。
その歴代最強レベルの個性を持つ複眼の恩恵を最も効果的に受けているのがハザードフォームなのではないでしょうか。
(お好みで、ED的な感じで流してみて下さい)
これまで平成ライダーは数多くの挑戦により制作されてきました。
その中でも視覚的に訴えかけてきた「ヒーローのデザイン」。
放送当時はあのファイズでさえ否定的な意見も見られたと聞きます。
その後も響鬼やディケイド、フォーゼといったタイミングで受け入れられないと言われる年もありました。
それでも構わず戦い続けるライダーは、いわば現代における格好良さの定義の模索・開拓を体現していたように思います。
そして近年。
エグゼイド=ゲームモチーフライダーという自由度極まる世界が生まれました。
その次のビルドを見て「普通過ぎない?」「Wの没案」「ネタ切れ」という声も耳にしました。
しかし私はビルドを、普通じゃないデザインだし独自性もあると実感しました。
それをまさか黒一色の、下手すれば没個性的にもなりかねないデザインから思い知る事になるとは予想もしてませんでした。
今年もまたライダーデザインに打ちのめされてしまいました。
正にライダーデザインの「実験」の被験者になったわけですね…
ビルドのデザインについて長々と書いてきましたが、
要するにビルドのデザイン(特に複眼)が秀逸で、その意義を最も感じられたのがハザードフォームだという点だけ理解して頂ければ幸いです。
それでは、また。