絵描きはつらいよ

ツイッターで公開した絵の補足やブログ限定の絵の公開(予定)をしつつ、特撮作品の解説や感想なんかも絵を交えて出来れば良いな…というブログ。

「怪獣」は柔軟さを手に入れ、広がりつつあるという話。

 突然ですが皆さんはこちらの作品ご存知でしょうか。

 

 1話の時点では恋愛ものですが、今後どういった変化を遂げていくのか、はたまたそのまま恋愛ものとして進んでいくのか。純粋に物語として楽しみなところなんですが…

 

 それ以上に、ウルトラシリーズ及び特撮怪獣が好きな方なら跳びつきそうなポイントが随所にあるのも嬉しいところです。

 

 「怪獣」「怪物」「怪人」といったワードはあくまで比喩的な表現としてタイトルに採用されるパターンもあって、個人的には反射的に惹かれるのは迂闊だなぁと思っていましたが、今回は違いました。マジモンの「怪獣」です。

 

 ツイッターにて偶然知った作品な上にこのブログで漫画の話全然しないもんだから非常に珍しい記事になってますが、興味のある方は是非試し読みだけでも。

 

 自分は単行本派なのでお金を出すタイミングは遅くなりそう…(汗

 

 

 

 そんなこんなで販促(?)になってますが、この作品を読んでふと思ったのが、「怪獣」という言葉、カテゴリーとしての「怪獣」がより広くなっているのかなという事。

 

 そういう思いが生まれたのには、既にこういう漫画があり、読んでいたからでありました(続きます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いに怪することなく、獣じつしたひび(1) (ヤンマガKCスペシャル)

いに怪することなく、獣じつしたひび(1) (ヤンマガKCスペシャル)

 
いに怪することなく、獣じつしたひび(2) (ヤンマガKCスペシャル)

いに怪することなく、獣じつしたひび(2) (ヤンマガKCスペシャル)

 

 「いに怪することなく、獣じつしたひび」。簡単に言うと怪獣好きな女の子と、それとは対照的な女の子が、じわりじわりと距離を縮めていくお話。

 

 店頭で偶然見つけた瞬間、「タイトルで釣るタイプじゃないでしょうね…!」というめんどくさいオタク特有の警戒心と共に手に取ってみると、どうやら「現実と同様の怪獣映画が存在する」タイプの漫画だと。

 

 自分昔からそこまで漫画読むわけでないし、一時期はまんがタイムきらら系ばっか読んでた上に最近は全然な人ですので、単純に思った点だけまとめると、

 

 

・絵柄が優しい…!

・怪獣の描き込み具合が丁度良過ぎる…!

・読者に対するフックであり、キャラのやり取りにおいて重要なポジションを維持し続ける怪獣の存在感が素敵…!

 

 

 という感じ。一部の人向けに怪獣要素をドドンと推すわけではなく、それでいてお話の中でも重要度が高い(個人的には徐々に増していく流れが良かったです

 

 そしてまったりとした絵柄で進むお話の中で、急に異形の生物である怪獣が目に入る驚きと楽しさというのもあります。その怪獣もグロ過ぎずゆる過ぎない。

 

 正反対の女の子同士が色々あって心の距離を近づけていく、というストーリーは明快なので単に怪獣好きってだけでもスッと読めると思います。オススメさせて頂きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 勘が鋭くなくても、「いや怪獣扱ってる漫画だけど、全然タイプ違いますやん…」と思われることでしょう。

 

 そうなんです。「怪獣」のポジションも、漫画のジャンルも、絵柄もかなり違うタイプになると思います。

 

 しかしだからこそそこで「怪獣の可能性の広がり」を感じたわけですよ…!

 

 

 

 

 

 

狙われない街

 正直、ウルトラマン仮面ライダーという力関係をリアルタイムで、商品展開的な意味で思い知った人間としては、この先怪獣というものがブームを起こす程に大衆を魅了する時代は来ないんだろうなぁとずっと思ってました。

 

 実際現在も「ウルトラマンオーブ」以降の「物語の縦軸重視」による新規ファン獲得を見て、これまでの「怪獣、メカに重きを置くスタイル」では廃れていくんだろうなぁと薄々思っています。

 

 しかし今回紹介した「乙女怪獣キャラメリゼ」「いに怪することなく獣じつしたひび」を通して、気付いたんです。

 

 これまでの怪獣が受け入れられ辛いなら、怪獣の概念をより広くすれば良い。

 

 これは斬新な設定、奇抜なモチーフ及びデザインにより築かれてきた平成仮面ライダーの幅広さに通ずるものがありますね…

 

 

 

 そしてそういった点を大々的に取り上げられることはなくとも、円谷プロが既にそれに近い事をやっていました。

 

 

 

 

 

 

ウルトラ怪獣擬人化計画 公式ファンブック

 ウルトラ怪獣擬人化計画。開始当時既に「艦これ」等でウケていた擬人化もの。当時は「どんなかたちでも怪獣が広まればそれで…!」という気持ちでしたが、今になってアニメまで作られてイベントまで展開されて商品もそこそこ出るまでになるとは思ってませんでした。

 これも「キャラクターをどんなかたちにしても拡散する」というやけ気味な目的に感じられましたが、結果的に「怪獣というキャラクターの概念、ジャンルへの入り口を広げる」事に繋がり、ウルトラシリーズ全体の熱量を上げるきっかけになったのではないかと今更ながら考えています。

 しかしそこに至った要因はただ擬人化ものとして売り出したからではなく、デザインからイベント、アニメまで愛と熱のあるスタッフの方々のお陰である事は間違いありません。(きらら漫画で既に怪獣ネタをバンバン出していた娘太丸さんが参加した時点で非常に嬉しかったです…

 

 

 

 

 

「怪獣酒場」大図鑑 (TJMOOK)

 「怪獣酒場」。これも期間限定的な触れ込みだったのにいつの間にか増えたりリニューアルしたり本が出たりアニメになったり(こっちもかよ!w)と凄いです。

 実際に行って並んでると、実際の街に宇宙人が客寄せで出て来る風景は正にこちらでも取り上げた「より身近になった宇宙人」をダイレクトに感じました。

 それでいて濃いファンが語り合う場として圧倒的な支持を得ているのも強みですね。私も何度もお世話になってます。現在、川崎新橋を侵略中。お疲れさんです。

 

 

 

 

 

ウルトラ怪獣散歩

 ウルトラ怪獣散歩」。こちら残念ながらバッチリ見たことがないんですが、これもまたウルトラシリーズのキャラクターを売り出す事に大きく貢献したのではないでしょうか。

 怪獣バラエティと銘打ったウルトラゾーンの空気を思わせる旅番組。怪獣だからロケNGで「そこはやらせてあげてよ…」という同情を誘ってしまう件はウルトラシリーズからの派生ならではだなぁとw

 日常的な風景に怪獣・宇宙人が紛れ込む映像はインパクトがあるだけでなく、かつてのファンも過去作に感じたノスタルジーが垣間見えて素敵です。後、時々メンバーがマニアックというか「それ着ぐるみあったの!?」という選抜になってるのも見所です。

 

 

 

 

 

 

怪獣文藝の逆襲 (角川書店単行本)

 上記はあくまで「私が」怪獣の可能性の広がりを感じた一例です。

 

 もしかしたら皆さんも他の作品に「もしかしたらこれ…」というものがあるかもしれません。

 

 実は日常に忍び込んでいた怪獣達。擬人化計画の売り文句をお借りするならばそう、これは、『侵略』なのです。

 

 怪獣の凄さ、素晴らしさをより広い世界へ伝える為の侵略…

 

 そして怪獣がより強固な市民権を得るべく動き出したその結果ではないでしょうか。

 

 円谷プロに限らずこういった動きはまだあります。

 

 というか自分も書きながら「そういえばこれもそうじゃん…!」と震えております。

 

 

 

 

 

 

 最後に、好きなウルトラ映画からこのセリフを。

 

「お前も強くて格好良い怪獣が好きなんだろ?街を破壊し、大暴れする怪獣達が大好きだ。でもそんなこと言ったら笑われるもんな…いい歳して怪獣なんて、幼稚な、ダサい、下らない…」

「下らなくて悪かったな!今こそ見せてやる、怪獣の本当の凄さを。その恐ろしさを!全て壊してやる。こんな世界全てぶち壊すんだ!」

 

 全然意味合いが違う!(汗

 

 でも順調に世界は壊れてきました。というか既に創造の方が始まってるのかもしれません…