No.057 ベンゼンバードン
フュージョン怪獣を取り巻く戦いが終わり平和な宇宙に眠っていた数々のデータ。ゼットルギエルの遺産を今、解き明かす時——。
前回の報告内容にて惑星規模の寄生による侵略計画が判明し、その中でも活動が出来る怪獣のデータも複数見つかった事は既に伝えてある。今回からその紹介と、各怪獣の性能について詳しく説明していく。
汚濁し尽くされた環境でも活動可能な怪獣、その中でも対怪獣戦を意識したと思われるデータからお見せしよう。
火山怪鳥バードンと慢性ガス過多症宇宙人ベンゼン星人のフュージョン怪獣・ベンゼンバードンだ。ガスによる症状を毒袋を持つ怪獣の力で克服するかたちで融合したケースと言える。バードン自体も自身の毒で弱るという性質があるが、あくまで毒を保有している点を利用した融合と考えるべきだろう。
毒性ガスを持ちながらそれに苦しめられていたベンゼン星人が知能をそのままにバードンの性質を得たとなれば単純に戦力として活躍の見込みもあるが、最も期待されたのが劣悪な環境での戦闘である。タイプが違うとはいえペジネレオンにより侵食された惑星を放置するつもりも無い。その後完全に手中に治める為にも星内の探索や後処理は必要だ。万が一生存する生命体が残っていれば対策も要る。
侵略後の対処の困難さやペジネレオンそのものの制御等もあり実現はしなかったが、ベンゼンバードン他毒属性怪獣のデータが見つかった事から入念に計画していた事が分かる。
体内の毒、ガスを駆使した猛毒攻撃を得意とするだけでなく、金属的に発達した頭部や爪で強力な攻撃も可能となる。病気を克服し排出の必要は無くなった体内ガスは、直接攻撃への転用に限らず火炎放射や推進力アップ、毒状態付与といった幅広い使い方が出来る様になったのも特徴だ。前述の通り怪獣戦を見越したフュージョンなだけあって多彩な武器を備えている。
必殺技は体内ガスで爆発を起こしながら敵に突進するボルヤニックジェット。通常時も使える能力を最大出力で行うだけあって自身へのダメージもあるが、毒と炎の二重属性攻撃、命中後毒と火傷を与える事もある。既に毒を負っていれば威力倍増と追加効果が満載だ。
火山怪鳥バードンが毒を持っている事が判明したのは初出現から数十年経ってから。複数回の戦いを通して対策が増えていけばより平和も安泰である。
ベンゼン星人は女性も確認されており、ウルトラマン型のロボットを作る技術も脅威の1つであった。種族単位で病気持ちとは難儀であるが、高い技術力が医療方面で役立つ事を祈る。
報告は以上となる。ここまで書いておいて何だが、実のところ毒属性怪獣が他の毒まで無効化出来る原理は明確に分かっていない。有毒物で打ち消すというかたちで悪環境に対応するのだろうか。
そうなると場合によっては毒属性にも通用する毒を持つ怪獣や、毒に限らず状態異常を解毒の要領で回復する怪獣の存在も推測出来る。今は解き明かす事はせず今後の研究対象として数えておく。
次回は集団戦闘に特化した怪獣を紹介する。これまで確認された事が無かった珍しい性質についても解説していく所存だ。
以上