No.054 パズズミクラス
最小限に抑えられた宇宙の戦乱、その続きはデータベースにあった。フュージョン怪獣の脅威、未だこの宇宙から消し去られてはいない―—。
「次回以降の報告もまた連絡なく遅れる場合がある」。前回断っておいて正解だったというのが本音である。データ回収、修復については滞りなく進行中。現時点で新たに問題が発覚したという報告も受けていない旨は記しておこう。
今回の報告が遅れたのは、以前にも増してフュージョン怪獣の重要性が低くなっている事も影響している。ゼットルギエルが倒れた後も出現報告の無い今、再発時の対策を目的とした研究は急務ではない。それでも継続してこういった形で残しておく業務に変わりなく、他の仕事を優先するのが組織としての方針となった。
報告者の本音を言うと脅威はまだ去っていないと感じている。これが杞憂で済む事を願う。
本題に入る。今回も雷属性の怪獣となるが、マグネレドータスやキーラビーコンとは違う対怪獣戦闘能力に長けた存在だ。
カプセル怪獣ミクラスと宇宙雷獣パズズのフュージョン怪獣・パズズミクラス。温厚かつ正義感溢れる怪獣と、野生の身でありながら破滅招来体により尖兵となった怪獣。あまり共通点の無い2体だが、ミクラスは後に技術応用で雷攻撃能力を得た経緯を考えると、より強い雷撃怪獣としての融合を目指したと推測出来る。
そうするとレッドエレキング他と同様実用に至らなかった理由が気掛かりだ。私の仮説だが、気性の荒さ、戦いにおけるモチベーションの違いによる融合後の不具合があったと考えている。戦いを任されて臨むミクラスに対しパズズは侵略意図ではなく自衛、生存本能によって暴れていたという事が判明している。そんな2体が同じ目的の為に力を行使するにはダークリングの力を持つ者の相当な錬磨が必要となり他の怪獣と比べてポテンシャルを発揮するのに時間が掛かる。それを知ったゼットルギエルが実用化を遅らせたのだろう。
しかし逆に言えば2体の力を上手く混ぜ合わせ同じ方向に向かわせた時、強力な怪獣として戦えるという事だ。実際素早さ以外のステータスは平均かそれ以上を誇り、耐久型でありながら攻撃に転じる事も出来る。両肩の硬質な翼には避雷針の役割があり、自分含め味方怪獣が受ける雷属性の攻撃を吸収、無効化が可能だ。また、戦闘中は士気を上げ味方怪獣の能力値を上昇させるスキルも持っている。これまで紹介した多岐にわたる役割を担う怪獣達の代わりに障害と戦闘をする上でも重要な存在となり得る。
必殺技は頭上に出現した雷雲をも巻き込んで放つ巨大な電光弾・猛牛烈雷弾。翼で吸収した電気エネルギーによっては威力も増大するという情報も記載されている。融合が実現し敵として現れていた場合の対処案も改めて考えておきたい。
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味方怪獣として姿を見せたミクラス。あらゆる場所において記録が残っており、人類やウルトラマンと共感する個性が大きい種族なのかもしれない。
パズズにはワームホールの力で強化された超パズズという個体も確認されている。角の色と形状、腹部といった部分に相違が見られるが一目で見分けるのは難しいだろう。
今回の報告内容はここまでとなる。
次回で雷属性の怪獣という括りは一段落すると思われる。広範囲かつ長期的な侵略又はその準備に繰り出す編成を想定した怪獣群だったが、次の1体はまた別方面において活躍の見込める能力を持っている。詳しい内容はまた後日公開しよう。
以上